kenmoku kumiko

aug 23 2021

「にやりほっと」で介護が変わる


株式会社長谷工シニアホールディングス 取締役専務執行役員
見目久美子さま 

今回は、マンション事業を主軸に「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する」を企業理念とする長谷工グループのシニア関連事業を展開する長谷工シニアホールディングスを訪問しました。お話を伺ったのは、同社取締役専務執行役員、見目久美子さま。

長谷工シニアグループの事業会社センチュリーライフと生活科学運営は30年以上にわたって高齢者住宅を運営、ここに横浜・川崎で認知症専門のデイサービスを運営するふるさとが加わり、それぞれの特性を活かしながら、三大都市圏で約100事業所を展開されています。

1969(昭和44年)にマンションを手がけて以来、首都圏では3棟に1棟、近畿圏では5棟に1棟のシェアを誇り、日本の分譲マンションストックのおよそ1割に相当するマンション施工累計実績670,397戸(2021年5月末現在)を積み上げてきた長谷工コーポレーション。歴史があり、かつ大規模に展開してきたからこそ、経年によって生じるマンションの老朽化と居住者の高齢化の「2つの老い」にいち早く対応されてきたと言えるでしょう。



特に同社の取り組みで注目したいのは、職員がご入居者のプラス面(できることや生活歴)に目を向け、にやりとしたり、ほっとしたりしたことを記録・共有し、その人らしさを尊重するケア「にやりほっと」。ライフ&シニアハウス井草(介護付有料老人ホーム)のGA(グループアクション※1)活動として誕生したこの活動、マニュアル化し現在は全社で取り組まれる活動となっています。
※1 GA活動とは、長谷工シニアホールディングス独自の業務改善を目指す小集団活動のこと

「にやりほっと」は、転倒や誤嚥など、介護の際に必ず注意しなければならない危険や事故につながりかねない突発的な事象やミス「ヒヤリハット※2」に該当することが、スタッフの目からみて、入居者の生活満足度が上がると判断すれば「ヒヤリ」が逆に「にやり」へと変わる事例をいくつも紹介いただき、本当に驚きました。


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※2 ひとつの重大な事故の背後には29の軽微な事故があり、さらにその背後には300の異常(ヒヤリハット経験)が見られる、という経験則のこと。1930年代にアメリカの損害保険会社の技術・調査部にいたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏が、ある工場で発生した労働災害5000件以上を統計学的に調べた結果、導いた法則として「ハインリッヒの法則」と呼ばれる。

介護の現場ではみんな時間に追われています。介護スタッフが手伝ってしまい、本人が「今できないこと」になっているケースもあるとのこと。また、認知症の人でも「やれない」「できない」「やらせてくれない」という記憶は強烈に残るもの。早く用事を済ませて次の活動に入りたいと思う気持ちを抑え、環境を整え「やりたい」気持ちに応えることで、その人の可能性を増やしていくことができる「にやりほっと」の取り組み、本当に素晴らしい。ぜひお聴きください。




【書籍紹介】
書籍:できることを取り戻す魔法の介護
   (発行 ポプラ社)




  • 「歩けるようになった。笑顔が増えた」
    ――テレビや新聞などメディアで注目の新しいケアの発想、実践法が一冊に。


    ■ヒヤリハットから「にやりほっと」へ
    事故のないように、あるいは時間短縮のために、余裕がない介護の現場の反省から、視点を変えた高齢者との接し方、「にやりほっと」活動が始まっています。

    本人の「好きなこと」「得意なこと」「これまで習慣として続けていたこと」に注目し、具体的なケアに生かすことで、ポジティブな気持ちと健康的な生活を取り戻す。そんな現場の取り組みを、家庭向けに紹介。介護の新しいスタンダードともなる一冊です。

【スペシャルゲストプロフィール】
見目久美子(けんもく・くみこ)

株式会社三英堂商事 代表取締役社長。
飲料メーカーへ入社後、出産を機に退職。長く働くことができ、社会貢献できる仕事を求めて株式会社生活科学運営へ入社。総務・人事を経て、長谷工グループ企業の再編を機に、長谷工シニアホールディングスの取締役執行役員に就任。