しんぱらの家 施設長 今泉仁志さま
赤石寮 施設長 清水厚紀さま
あかいし学園 施設長 鈴木善道さま
ー Q. 施設の特徴や魅力を教えてください
A. しんぱらの家 今泉さま(以下、今泉さま)
全室個室のユニットケアの特別養護老人ホームです。個室であることによって、プライバシーが尊重される造りとなっています。ユニットケアによって、利用者さまにとって、おなじみの関係も築いて頂きやすいという特徴があります。ご利用者さまも職員も自主自立し、安心して、安全に生活していただけるような環境を作っています。
A. 赤石寮 清水さま(以下、清水さま)
知的障害をお持ちの方を対象とした施設です。知的障害の方の施設としては珍しく、ユニットケアを採用しています。特に自閉症の方の、強度行動障害という状況に対してのお困りごとを解決するための、細かいアセスメントのもと個別支援を行い、ご利用者さまの自立支援に取り組んでいます。
A. あかいし学園 鈴木さま(以下、鈴木さま)
昭和45年の開園当時は児童施設でしたが、特別支援学校の設立等に伴い、昭和56年に成人施設に切り替わりました。あかいし学園に残っていた行き場のない児童の方がいらっしゃったことも理由であります。高齢者施設の場合、新たにできることを増やすということよりも、残存機能を残すことを目的に挙げられると思いますが、障害者施設では、ご利用者さまのできることを職員皆で増やしていくという事が、大変やりがいのある仕事です。
ー Q. 皆さまが天竜厚生会に出会ったきっかけ、また福祉の道に進むことになったきっかけを教えていただけますか。
A. 清水さま
地元で育ち、幼いころより、学校の福祉教育で天竜厚生会に来る機会がありました。利用者さまと触れ合う機会もあり、子供の頃より近くにある存在でした。
元々は警察官志望だったのです。しかし、当時の私の思い描く警察官像が、地域で夜に歩いているお年寄りなどに、危ないから家まで付き添いをしてあげる。といったアットホームなものだったのです。ところが、この話をある方にしたところ、それは警察官というよりも、福祉向きだ。と教えていただきました。実際にやってみたら、こちらの道が合っていたなと思っています。
A. 鈴木さま
家業の手伝いをしていたのですが、ある時必要がなくなり、就職を考えた際に情報誌にて、待遇面等の良さに惹かれ応募し、中途で入職することになりました。実際に天竜厚生会に来た際にはあまりの規模の大きさに驚きました。家業が商売をやっていたので、人と接する機会が多くあり、福祉も人と接するという点でマッチングする部分があると思います。こうして20数年続けられてきた理由でもあると思います。
A. 今泉さま
小学生の時に同級生が病気で天竜の養護学校に転校し、お見舞いに来た事がありました。その頃は、天竜病院、養護学校、天竜厚生会の一帯を「でんりゅうそう」という組織だと子ども心に思っていたのです。月日が経過し、2回目の就職先を探している時に、静岡新聞のチラシに、「天竜厚生会事務員募集」の求人を見つけて応募したのがきっかけでした。その時には、障害者に関わる仕事をやりたい。という気持ちがあった訳ではありませんでした。
ー Q. 日々心がけているのはどんなことですか
A. 今泉さま
コロナで3年間面会もできない状況で高齢者の方も、「独りぼっちなんだ」という気持ちになられる事がありました。今年2月、随分早い段階ではありましたが、面会を再開しました。職員はあくまで職員であって、家族にはなり得ないです。何を大切にするのかという事が大事だと思います。マニュアルにとらわれない対応ということを心がけています。
ー Q. ご入居さま、ご利用者さまのお声やエピソード等をご開示いただける範囲でお教えいただけますか
A. 清水さま
障害者施設のご入居者さまに対しての伝え方を、感覚の「言葉」だけでやってしまっていた時期がありました。しかし、なかなか正しくは伝わっていない事がありました。アセスメントを深めていくと、その方によっては、「言葉」よりも「絵」などで合わせる事。例えば、歯磨きのコップに歯ブラシをセットするということをわかりやすい絵で合わせる。これをやった時に、ご本人さまがあっという間に行動できるようになり、できたことを、ご本人さまも大変な喜び方をされた。というエピソードがありました。伝える技術をこちらが上げていかないと、ご利用者さまの能力自体を生かしきれない。ということになってしまうので、毎日、何かしら新しい側面を見つけようという想いでご利用者さまと接しています。
A. 鈴木さま
しんぱらの家等の施設で出た段ボールを、赤石学園では回収、販売して利益にしています。毎回ではありませんが、回収作業を利用者さまと一緒に車で行くのです。利用者さまは地域に出る機会もなかなか無いですし、車に乗る機会も無いこともあって、回収に行くことをとても楽しんでくださいます。そして、労働した分、お菓子が欲しいと要求してくるようになるのです。これは、とても良いことで、例え利用者さまが理解をされていなくても、1ヶ月働いて、これだけの工賃になった。という報告をするようにしています。何のための労働で、労働をすることによってお金を得られるのだということを、伝えたいと考えています。月に1度、ジュースやお菓子で利用者さまに返す。ということを行っています。社会で生きていく。ということを伝えることも大切にしていきたいと思っています。
ー Q. これからの将来像をお聞かせいただけますか。
A. 今泉さま
特別養護老人ホームの施設長としての仕事を全うしながら、農福連携なども考えていければと思います。
A. 鈴木さま
施設長になった時に、どの施設長よりも、ありがとうを言える施設長になろうということを決めました。どのような立場になろうとも、これからもずっと続けていきたいと思っています。
A. 清水さま
ご利用者さまに選んでよかったな。と思っていただける施設を作っていくこと。これは勿論のことですが、働いている職員も、働いてよかった。と思える施設を作っていきたいと考えています。学べき事があって、やりがいを持って働くことによって、職員の技術も上がっていく。それが、ご利用者さまの満足に繋がるという相乗効果になっていくと思います。