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Sep 19 2023

社会福祉法人麗風会・桜の園


デイサービスセンター桜の園 音楽療法ご担当 龍 進一さま
公益財団法人東京ミュージック・ボランティア協会 理事長 赤星 多賀子さま



ー Q. 法人さまの特徴、ご沿革を教えていただけますか。

A. 龍さま
佐賀平野の南西に位置している白石町にある法人です。レンコン、玉ねぎ、海苔などの養殖が盛んな土地です。 法人は30周年を迎えました。 中心となるのは特別養護老人ホームです。他に、在宅部門、デイサービス、ホームヘルプサービス等、8つの事業所が入っています。



ー Q. 公益財団法人東京ミュージック・ボランティア協会さま、赤星式音楽療法について教えていただけますか。

A. 赤星さま
音楽療法を始めた赤星雄彦は亡くなってから11年経つのですが、桜の園さんはじめ各地に出かけ、直接ご利用者さまや施設の方にお会いしながら音楽療法でセッションを行っていました。今は、赤星多賀子が引き継いで行っています。  

A. 龍さま
私どもの施設が平成5年8月に開園になりましたが、2年後に赤星建彦先生とのご縁があり、高齢者の方々に向けて療育音楽を教えていただきました。その後は継続的に足を運んでいただきまして、高齢者の方々に音楽を楽しんで頂き、職員にも様々な教えをいただきました。施設でも毎日療育音楽の時間を設けて続けています。  

施設では、要介護3以上の方が多いのですが、音楽を流して楽器を使ってリズムを取ったり、歌を実際に歌ったりなどということを行っています。楽器も赤星先生が開発された、高齢者の方が握りやすい、また手を刺激するような楽器を使っています。  

療育音楽には、3つの大事なポイントがあります。一つ目は指先を刺激し、脳の活性化を 図るということ。二つ目は、歌うことで 肺の呼吸を強くするということです。高齢者は誤嚥性肺炎を起こしやすいですが、歌を歌うことで呼吸機能を強くするという効果があります。三つ目としてリズムを整えるという効果があります。呼吸、脈拍、睡眠も大きな意味でのリズムです。療育音楽を行うことで様々なリズムを整えて健康に繋がっていくということで、施設でも30年近くずっと継続してやっています。  

療育音楽だけではなく、 常にクラシック、童謡などを流しながら、なるべく自然に入ってくるような形で音楽を取り入れております。  

A. 赤星さま
歌うことと楽器をやること。同時に2つのことをやるということも脳にいいと言われています。療育音楽は、「音楽で脳の働きを高める」「認知症の予防と改善」が初めからのテーマです。認知症臨床予防学会がエビデンスを発表しているのですが、グループが良いということ、楽器をやる、合奏というのはとても良いということをグレードAに認定をされています。  



ー Q. 音楽療法を産み出し、広めていかれた経緯について教えてください。

A. 赤星さま
50年以上前のことですが、赤星建彦はもともと、作曲家や音楽監督をやっていました。ある時頼まれてギターの教本を制作しました。埼玉県の筋ジストロフィーのお子さんが入院されている病院の保母さんたちが教本でギターを学んだので、発表会を行うという連絡をもらいました。その後、入院されているお子さんたちがギターの練習をされるようになったのです。筋ジストロフィーは、次第に筋肉が衰えて行ってしまう難病なのですが、病院の医師より、ギターの練習をすることによって、筋肉の衰えの進行が遅くなっているということを聞きました。また、演奏をすることによって、ストレス発散にもなっていると。病院の医師より、これは、欧米で音楽療法と呼ばれているものだと言われました。子供さんたちの地域での発表会が、メディアに取り上げられるようになっていくうちに、社会福祉協議会の方々より、高齢者にも良いのではと、特別養護老人ホームをご紹介いただくようになりました。「もうお迎えにきて欲しい」と話していたようなお年寄りの方が、3ヶ月ほどでみるみる明るくなっていったお話を聞いて、そんなにも役に立っているのかと感激をしました。そこから活動が広まり、現在に至ります。







ー Q. 療養音楽を受けられた方の実際のエピソードを教えてください。

A. 龍さま
グループでセッション して歌うことで普段表情が乏しい方であったり、なかなか言葉を言えなかった方が一緒に皆さんと歌うことで少しずつ音量も上がってきて、表情も豊かになったり。認知症の方は なかなか新しい曲を覚えにくかったりするのですが、赤星先生に作っていただいたオリジナル曲の「今日を生きる」という歌を毎日歌うことで新しい曲も覚えていかれたケースもありました。 体調を崩されて、寿命がもうあと少しという時にたまたま赤星先生が来られた際に、枕元でその方の大好きな歌を歌われたんです。それがきっかけなり体調を回復をされ、楽器を握れるぐらいまで回復された事例もあります。音楽の強さ、素晴らしさを実感できた瞬間でした。

A. 赤星さま
私どもの活動のテーマが「音楽で楽しく健康にそして生きる喜び」とあります。健康というのは体の健康もあるし心の健康もあります。

音楽で表現できるという事は生きる喜びにもつながるのではないかと私たちは感じております。まあ、役立てばうれしいということが一番にあります。



ー Q. 認知症の予防と改善について教えてください。

A. 赤星さま
認知症の方は今混乱していても、良かった時代のことというのは皆さん記憶にあるんです。その記憶を引き出すということの一つに音楽、歌があると思います。現在、回想法にも取り組んでいます。その方にとっての当時の歌、音楽を大事にしながら療法にあたるということがとても役立っています。中高年になったら、自分の柱になる音楽や、歌をもち、音楽を聴きながら、歌いながら体を動かす習慣を持っておくということは、認知症の予防につながるのではないでしょうか。



ー Q. 文斉ホールについて教えてください。

A. 龍さま
園長先生の文化、芸術への期待が詰め込まれた ホールで、人間らしく、ゆとり潤いを実感できるようにという思いで設立されたものです。

施設に入居されてる方が使うだけではなく、地域の方のピアノを習ってらっしゃる方々の発表会の場所にも提供しています。



ー Q. 施設でのQOLを高めるような取り組みについて教えてください。

A. 龍さま
排泄ケアにも力を入れています。

広島の 理学療法士の先生の指導を受け、昼間はトイレで排泄をするということに取り組み、下剤を使わなくていいような状況になりました。 便通がよくなると、食欲も湧きます。 排泄ケアを30年近く取り入れて、昼間も必ずどんな重度の方でもトイレの方で排泄をしていただくということを取り組んでおります。プラス療養音楽で精神的なもの機能的なものを高めていけています。

手前味噌ではありますが、とても良い施設だと思います。





【施設紹介】
法人名:社会福祉法人麗風会・桜の園
所在地:〒849-0402 佐賀県杵島郡白石町大字福富下分2387-3