代表取締役社長 辻井麻里さま
ー Q. 施設の魅力や力を入れている点を教えてください
A. 満床で26人の有料老人ホームで小規模なため、スタッフからも入居者さまの顔や状態がしっかり分かり、入居者さまからもスタッフが日勤で5~6名いるためしっかりと見える施設になっています。
私も准看護師の資格を持っているのですが、看護師は5人おり、必ず日中は2名常駐しているため、医療依存度の高い方もお受けすることができます。主治医の先生も協力医の先生も24時間365日訪問に力を入れていただいているので、最後の看取りまででき、ご安心いただけるのでは、と考えています。
おだやかでのんびりと、アットホームに過ごしていただける施設を常に目指しています。
ー Q. なぜ、介護のお仕事に取り組まれたのですか?
A. 私の母に先見の明があった、ということなんです。母が平成13年に各務原市に有料老人ホームを作ることになったのですが、岐阜県で初めてだったんです。当時、母はアパートの建売をしていたのですが、「これから自分も高齢になっていく」と考え、お年寄り向けの高級なワンルームの7階建てアパートを作ろうと思ったんですね。
ところが、1/3くらい作り上げたときに老人ホームを作るなら申請が必要だと初めて知って... 本来ならそこで申請が通っていないので工事をストップしなければならないのですが、自治体の協力を得て、同時進行で膨大な書類を提出しながら、1年後に完成にこぎつけたという経緯があります。
兄も大阪でサラリーマンだったのですが、母から介護の事業をすると言われたことがきっかけで、長男だし当時40歳くらいだったので帰ってくるなら定年を迎えてからではなく、今だと考え、一大決心をして仕事をしながら資格をとり、脱サラして岐阜県に戻ってきました。
私は当時は全く違う仕事をされており、初めのうちは人出が足らない時だけ手伝うぐらいの予定だったのですが...介護に関わっていくうちに学びたいことも出てきたため、介護の仕事をしながら40歳を過ぎたころに一念発起し、2年間看護学校に通い、資格を取得したんです。
その後、瑞穂市でまりあん・ヴィラをオープンしました。他の施設だと病院付き添いや送迎で、金額が発生してしまうケースもあるのですが、まりあん・ヴィラでは毎月の請求書が変動なく、ご利用者さまに明朗会計であることをお伝えすることで、差別化を図りました。右往左往しながらも、ケアマネさんなどに助けられ、おかげさまで満床となっています。
ー Q. 施設運営されておられるが、経営という立場から、こだわりやこういうところに力を入れていることなどはありますか。運営される上で大切にしていること、心がけていること等、お教えくださいますか?
A. ご家族さまに「ここだったら安心して過ごせる」と思って頂けるよう、できることは基本するというスタンスでいます。一般的には、他の2、3施設を見たうえでうちに決めてくれている訳ですので、この辺りはスタッフにも常に伝えるようにしています。
また、金銭的に、特養などに比べ超える金額を出してもここを選んでくれたんだからねということも伝えています。
ー Q. 人材育成などの面でどういったことを教えられていますか
A. 言葉遣いにしろ、援助方法にしろ、基本的には自分や自分の両親がされて嫌なことはしないでと言っています。言える言えないは別として、普段からスタッフ同士で思ったことは言えるような環境づくりを心掛けています。
ー Q. 嬉しかったり、やりがいを感じるときはどんなときですか
A. やっぱり、入居者さまがいつもニコニコしてくれていたら嬉しいですね。おやつレクやランチ会、お天気が良ければ庭に出たり、飲食に楽しみを向けていっています。
先日はもともとお知り合いであった各務原のお寿司屋さんの大将を呼んで、ここでお寿司を握ってもらったりもしましたね。いつもは刻み食の利用者さまがそのまま召し上がったり、軟飯の方が酢飯をそのまま召し上がられたりしました。
コロナ禍でこれまでできていたご家族との外出や外泊ができなくなり、限られた空間で何ができるか、楽しんでもらえるかを常に考えるようにしてきました。
ー Q. 電気代高騰などの社会課題に対して、どう対応されていらっしゃいますか?
A. 値上げの対応はしていません。2月3月はまだ寒かったので、入居者さまの個室のお部屋の暖房を切ることはできません。とはいえ、ずっと付けっぱなしにするのではなく、お部屋に入られる18時30分前からタイマー機能でお部屋を暖めておき、就寝時間の21時頃に切れるようにセットしました。次は夜勤者が、入居者さまの起きる時間の30分前にタイマーをセット、部屋から出てくる際に切れるような対応をしてきました。それでも電気代はあがりましたね...
使い捨ての手袋などの消耗品は削ることはできないので、節約できることは節約するようにもしています。例えば、ハンドソープは1プッシュにしたり、お水は流しっぱなしにしないなどの対応もしてきました。夜のうちはフロアにある3つの電気のうち1つだけを付けて過ごしてもらっていたこともあります。
ー Q. これからの5年10年の展望についてお教えください。
A. 今後、激動の時代を生きた団塊の世代の人たちが入居されるようになってきます。今までの入居者さまとは違って、これからの時代はお金を払っているからやってもらって当然という意見も出てくると思うんです。
新しい時代に対応していけるスタッフの教育もさらに充実させていこうと思っています。施設開設から9年目を迎えますが、2年前から県の助成金を利用して外部講師を呼んで、初心に返って、接遇や認知症について、年に8回講師の方をお招きし学んでいます。
今後、新設の施設も増え、激戦になっていくことは目に見えています。どんどん人材も足らなくなってきます。介護ロボットを使ったりもしていますが、人間対人間のお仕事なので、これからも人材を大切にしていきたいと考えています。