
株式会社TRUSTA
代表取締役社長 二ツ森 竜也さま
ー Q. 株式会社TRUSTAの設立経緯を教えてください。
A. 理学療法士として脳神経外科クリニック勤務を経て、転職した整骨院でリハビリテーション特化型デイサービスの立ち上げを経験しました。順調に店舗は増えていったものの、介護保険でのリハビリは医療保険によるものと比べて質や量といった面で課題を強く感じたことから独立し、デイサービスを立ち上げることにしました。
トラスタという社名は、「信頼(TRUST)×標準(STANDARD)」から命名しました。信頼は、代表である私とスタッフ間であってこそはじめて利用者さんへとも信頼を得られるという由来です。加えて必要なのが、標準化です。これはケアやリハビリの質および量はもちろん、本部の管理業務、都市部とへき地におけるサービスの格差といったあらゆる側面における標準化を指します。これらを確立することにより介護サービスを底上げするとともに、地域包括ケアシステムの構築に貢献したいと思っています。
ー Q. TRUSTAグループとしては介護事業と運営支援事業の2つの軸を掲げられています。
A. 株式会社TRUSTAでは、札幌市内を中心に高齢者住宅や訪問介護、訪問看護、通所介護事業を展開しています。一方、運営支援事業としては、医療法人や社会福祉法人を中心に、①事業運営全般のコンサルティング事業、②人材サポート、③家賃サポート、④起業サポート、⑤物流サポート等を行っています。入院から在宅生活までを網羅した知見やサービスを強みに、M&Aや業務提携という形で札幌市や八雲町ほか青森市や山形県など全国に規模を拡大しています。
いずれにおいても標準化を意識したケアの追求はもちろん、特に重視しているのは医療と介護の連携です。その一つとして、カンファレンスの場は非常に重視しています。たとえば、グループ内のクリニックの医師が高齢者住宅の訪問診療に出向く際、単に診療をするだけでなくそこの介護スタッフとの情報共有は密に行うよう働きかけています。介護職も知識を養い、可能な限り対応できる範囲を広げることにより、サービスの質は上がりますし、医療費削減にもつながります。
また可能な部署では、直行直帰制度や男性社員の育休取得、リモートワークなども導入するなど、働きやすい環境づくりにも力を注いでいるところです。
ー Q. 短期間で事業が拡大していった要因はどこにあるのでしょうか。
A. ビジネススクールの経験は大きかったと感じています。2年間、小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻で経営学を学び、2025年春にMBAを取得しました。医療や介護分野のみならず他産業にわたる経営層の方々との出会いを通じ、多くの刺激を受けました。社会課題の研究協力に携わる機会もあるなど、経営のヒントもたくさんいただきました。
ー Q. 展望をお教えください。
A. 地域包括ケアシステムの構築とは、平たく言えば働く人や利用する人、地域全体が健やかに安心してつながることのできる社会を実現することだと考えています。「社会課題の解決に貢献し、介護業界のリーディングカンパニーになる」というビジョンを軸にしつつ、求められることにはどんどん応えて変化していきたいと思っています。
振り返れば、病院勤務時代に外来で担当していた脳梗塞の患者さんがいたのですが、退院後にデイサービスでリハビリをしていると聞いていましたが、転倒し、再入院してきたことが創業のきっかけとなりました。高齢者住宅をはじめたのも、最初に立ち上げたデイサービスの利用者さんのニーズからです。夫を亡くし、自宅は手が余るから手放すことになったものの、持病があって一人で暮らすのは難しいと相談されて高齢者住宅をはじめました。当グループの高齢者住宅の第1号の入居者となったその女性は、今も元気に同じ場所で過ごされています。顧客の視点から価値を生み出す「カスタマーバリュー・イノベーション(Customer Value Innovation)」の概念に通ずるものだと感じています。
今後も、利用者さんの思いを具現化することが、より良いサービスにつながると信じ、取り組んでいきたいですね。
ー Q. ありがとうございました。