
社会福祉法人北叡会
理事長 日下 稚凡さま
法人理事 相談室室長 下山 歩さま
ー Q. 貴法人について教えてください。
A. 日下理事長) 当法人は2010年に設立し、主に高齢者福祉を担う「夢あかり事業部」、障がい福祉の「てるす事業部」、住宅サービスの「夢結路事業部」の3事業を設け、取り組んできました。理念は、「叡智(感性・創造力・知恵)・調和と自己実現」を掲げており、さらに「Mission(チャレンジしたい目標や夢)」「Vision(夢につながる道筋を見いだす)」「Passion(夢や目標への情熱を大切に)」をキーワードにしています。
当法人にとって2024年は、開設15周年を迎え大きな転換期となりました。理事長が私に代わり、先の理念を基盤としながらも、あらためて打ち出したのが「自分たちも過ごしたいと思える施設づくり」です。
というのも、これまでの当法人はトップの強力なリーダーシップを軸に、職員がその方向性に沿って業務を進めてきた組織でした。しかしこれからは、ご入居者・ご利用者、職員すべてが主役。それぞれが個性を発揮して、自分らしさを大切にできる場所でありたいと考えています。
ー Q. ご入居者・ご利用者が主役の施設とはどのようなものでしょうか。
A. 下山さま)たとえば介護において、自立支援とはよく使われる言葉です。パッとイメージするのは、ご利用者が自ら歩いて家事などもこなすような、他者の手を借りない自立した生活かもしれません。しかし大切なのは、自らの意思決定のもとで生活できることというのが当法人の考え方です。今日はどんな服を着たいか、朝はコーヒーが飲みたいとか、そんな個人のささいな願いがかなう施設を理想としています。
ときには既成概念にとらわれない発想が必要だと思っているのですが、原点になっているのは、30年以上前、日下と従事していた介護老人保健施設で実施したデイケアの一泊旅行です。あるご利用者の「温泉旅行に行きたい」の一声に端を発し、ご利用者とそのご家族を含めた総勢40人ほどで、約90㎞先の温泉地に行くことにしたのです。なかには寝たきりのご家族もいらっしゃって準備や移動は容易ではありませんでしたが、ご利用者のよろこぶ顔が見たいとの一念で決行しました。高齢になったり、介護が必要な家族がいるとどうしても外出範囲は限られる生活になりますから、それはもうよろこばれました。
ちなみにこのイベントを知った入所のご利用者からも「行きたい」との要望が出まして(笑)、後日、第2弾も実施しました。人手不足など厳しい環境下ですが、今こそあのような情熱が必要なのではと考えています。
ー Q. 一方、職員の方々においてはいかがでしょうか。
A. 日下理事長)職員に対しては、私自身、社会保険労務士資格を有しているため、働きかたや福利厚生などは、時代に沿ったものへ見直しているところです。あとは、職員が楽しんで働いている様子はご利用者にもポジティブに伝わりますから、いかに心の底から「仕事が楽しい」と思える職場にしていくか。できる限り職員一人ひとりの意見を拾い上げ、職員が自分ごととしてより良い職場づくりに関わっていけるよう働きかけている段階です。試行錯誤中です。
下山さま)この秋からは、法人主導でオリジナルの認知症カフェを開始しているのですが、職員には地域活動にももっと積極的にかかわってほしいと思っています。認知症カフェひとつとっても、地域に出向いて開催したり、個人のお宅にうかがうスタイルなど、いかようにも展開できます。柔軟な発想で取り組んでいきたいですね。
ー Q. まさにこれから変革されていく最中にあるのですね。最後に抱負をお願いします。
A. 日下理事長)ハード面においては十分整備してきましたので、お話ししたようなソフト面の充実を図っていきたいですね。これからはデジタルに明るい高齢者も増えてくると思いますが、いかに柔軟にニーズに応えていくことができるかも問われていると思っています。
ー Q. ありがとうございました。