Shimada Yukihisa

mar 22 2022

驚異の力
植物の体の中では何が起こっているのか


横浜市立大学 木原生物学研究所
教授 嶋田幸久さま

私たちは、植物なしで生きることはできません。二酸化炭素を吸って酸素を吐く植物。一方私たちは、酸素を吸って二酸化炭素を吐く。「人間と植物は、人間がそのことを意識するかどうかに関わらず、分かち難い縁で結ばれている」と話すのは、今回お招きしたスペシャルゲスト、横浜市立大学 木原生物学研究所 教授 嶋田 幸久先生。「植物の体の中では何が起こっているのか」(ペレ出版)を中心にお話を伺いました。



地球が生まれて 46 億年、大気の 21%程度を酸素が占めるようになったのは 5 億年ほど前のこと。歴史を振り返ると酸素がないところで、生物が進化してきたことがわかります... その後、太陽の光をエネルギーに変換し生きる生物、つまり光合成の機能を獲得した植物が誕生します。

「人間が生きる上で重要な呼吸は、植物が生きる仕組みである光合成から派生して誕生した」わけですが、地球に届くエネルギーのわずか 0.005%を元手に、植物は地球上の生命活動のほぼ全てを支えているというのですから...太陽の力、そして植物の力は本当に偉大です。



また、私たちは食べ物を探すために動くことを選択しました。しかし、植物は動きません。ましてや、葉は茎から何枚も出ていて、失っても生存そのものに影響はないばかりか、新たに葉を増やすことも可能です。「タネを包む果実に至っては、むしろ動物に食べられることで子孫をどこか遠くへ運んでもらうことを期待してさえいる」というのです!

そこで、先生からは生まれた場所で生き抜くための仕組みである「環境応答」について教えていただきました。植物を成長させる「オーキシン」を始め、9種類の植物ホルモンが生まれた場所で生きていくための仕組みとして機能しているということなどを知ると、ますます植物に対して興味が湧いてきます。

知れば知るほど深遠な存在として目の前に広がる植物、嶋田先生へのインタビューをお聴きいただくと共に、書籍「植物の体の中では何が起こっているのか」(ペレ出版)もぜひ手にとってもらいたいです!





【書籍紹介】
書籍:植物の体の中では何が起こっているのか
(発行:ベレ出版)



  • 動物のように動き回ることのできない植物。しかし、地球上に多種多様な植物が繁栄していることからわかるように、彼らは環境の変化にうまく対応し、進化してきたのです。植物たちは、まわりの環境をどのように感じとり、どのようなメカニズムをもって生きているのでしょうか。本書は、意外と知らない光合成や、生長や代謝にかかせない植物ホルモンのはたらきなど、植物の体の中で起こっている「生きる仕組み」を紹介します。

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【スペシャルゲストプロフィール】
嶋田 幸久(しまだ・ゆきひさ)

昭和61年京都大学理学部卒。昭和63年京都大学大学院理学研究科修士課程修了。同年協和発酵工業研究員。平成9年東京大学理学系研究科博士課程修了。同年理化学研究所研究員。平成20年理化学研究所植物科学研究センターチームリーダー。平成22年より横浜市立大学教授。