jul 06 2021
未来の農業
日本を救うのはイスラエル型ICT農法
拓殖大学国際学部教授
竹下正哲さま
「イスラエルの農業が日本を救う?」そう疑問に思う気持ち、わかります。でも、イスラエルの姿を少しでも知ると「確かに」と膝を打つはず。
イスラエルは、先端技術企業が勃興する「スタートアップ王国」。日本企業では、特に商社が熱い視線を送っています。例えば、住友商事は2019年にイスラエルでコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のINVenture(インベンチャー)を設立、直近では、自動運転技術のオトピア・テクノロジーズなどに出資、主にモビリティーやヘルスケアなど計6社に出資していると報道されています。また、丸紅もイスラエルに拠点を持ち、人工知能(AI)のD―ID(ディーアイディー)社に投資を開始しています。
農業分野ももちろんイスラエルは最先端。そのことを知るキッカケとなったのが今回ご紹介したい「日本を救う未来の農業ーイスラエルに学ぶICT農法」(ちくま新書)。
例えば、生産効率について。本書によれば、FAO(国連食糧農業機関)の統計によると、ホウレンソウの世界生産量1位は中国、2位はアメリカ、そして3位につけているのが日本です。それが、農地1ha当たりの収穫量(収量)で比較すると、日本は40位にまで急に下がります。
ところがイスラエルは、収量でみると世界ランキングベスト10になんと29種類もの作物がランクイン。ちなみに、日本はベスト10圏内は、イチジク7位、タマネギ9位の2作物だけ。
しかも、イスラエルは国土の3分の2が乾燥地帯。つまり砂漠です。四国より少し大きい国土の大半が砂漠というデメリットであるにも関わらず、なぜこれほどの農業大国へと成長できたのか!?
秘密を探るべく、本書著者であられ、拓殖大学国際学部で教鞭をとられる竹下正哲先生をお招きしじっくりお話を伺ってきました。
「日本の農業は、世界最高レベル」「国産は安全で安心」。
少なくとも私はそう誤解していました......もし、私同様そう思い込んでいるリスナーがいたとしたら、、、早速竹下先生のお話を伺ってもらいたいです。日本の農業、このままではマズイ。竹下先生による、日本の農業を救う方法、ぜひお聴きください!
【本書紹介】
書籍:
「日本を救う未来の農業 ── イスラエルに学ぶICT農法」 (ちくま新書)
日本の農業には、今大きな危機が迫っている。一般に農業問題というと、低い自給率、農家の減少、農家の高齢化、担い手不足、耕作放棄地の増大、農地の減少などが思い浮かぶが、実はこれらは大きな問題ではない。最大の問題は「国際競争力のなさ」だ。日本にとっていちばん参考になるのは今や農業大国となったイスラエル。センサーやIoT、衛星画像、クラウドシステムを使った最先端技術を駆使したイスラエルの農法を学べば、日本の農業問題はほとんど解決できる。
【スペシャルゲストプロフィール】
竹下正哲(たけした・まさのり)
拓殖大学国際学部教授。北海道大学農学部、北海道大学大学院農学研究科で学ぶ。博士(農学)。大学院在学中に小説で第15回太宰治賞受賞。民間シンクタンク、環境防災NPO、日本福祉大学などを経て、拓殖大学国際学部へ。日本唯一の「文系の農業」として知られる国際学部農業コースの立ち上げに尽力し、栽培の実践を重視した指導を行っている。かつて青年海外協力隊でアフリカに行ったことをきっかけに、世界中のフィールドを回り、海外の農業現場に精通している。2015年に初めてイスラエルを訪問し、衝撃を受けた。主なフィールドはイスラエルとネパール。