Matsuo Yusuke

jan 21 2022

気候変動の文脈
企業が実践すべき脱炭素経営とは


日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)
事務局長 松尾雄介さま

「気候変動への対応は『営業許可証』である」。気候変動に対応していなければ早晩ビジネスが成り立たなくなると警鐘を鳴らすのは、「脱炭素経営入門 気候変動時代の競争力」(日本経済新聞出版社)の著者であり、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)事務局長である松尾雄介さん。

一般的に日本では気候変動は「地球温暖化」と呼ばれている一方、国際的には気候変動、場合によっては気候危機と呼ばれています。その違いは「気候変動は一般的にイメージされる環境問題の範疇を超え、社会の安定や平和を根底から揺るがすリスクである」という認識への理解にあると松尾さんは話します。

本書ではさらに、国連環境計画(UNEP)が、気候変動が感染症を増加させる要因の一つであると指摘したことも紹介されています。私たちがこれからもまた、コロナのように、もしくはさらに大きな新たな危機に直面してしまう可能性すらあるのです。



これまで企業が気候変動に取り組むことは「社会に良いことをしている」という加点要素でした。それが今では「やらないと社会から認めてもらえない、場合によっては批判の的になる」という減点要素へと意味合いが180度転換してしまいました。つまり、気候変動への対策に逆行する経営を行う企業は「人道に反し、不正義」であり「重大なリスクを理解していない」とみなされてしまいます。

では、実際に何を知り、どう考え、そして行動に移すべきなのでしょう。インタビューでは、「炭素予算((カーボンバジェット))」の考え方や、直近開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の総括、中国の石炭火力発電についての見方等、多方面にわたる知見を共有いただきました。

食料・健康・貧困・移住・紛争など、私たちが当たり前としている生活基盤を脅かす可能性が十分ある気候変動。自分ごととして捉え、グローバルにおける気候変動の文脈をいち早く理解する人から、今後求められる経営のあり方にシフトできるでしょう。

グローバルスタンダードに日々触れながら、提言を行ない続ける松尾さんへのインタビュー、ぜひお聴きください。







【書籍紹介】
脱炭素経営入門 気候変動時代の競争力
(発行:日本経済新聞出版)



  • 経営の意思決定精度向上に向けた、脱炭素経営本の決定版
    気候変動が企業価値に影響する背景・経路・ロジックを「腹落ち」するための本格的入門書。
    日本では十分に浸透していない気候変動の真のビジネスリスク・チャンスについて、その背景や基本的なロジックを丁寧かつ具体的な事例を交えて解説。経営目線で見た脱炭素化の重要性を「腹落ち」し、意思決定の質向上に資する知見を包括的に盛り込んだ1冊。



【スペシャルゲストプロフィール】
松尾雄介(まつお・ゆうすけ)

(公財)地球環境戦略研究機関 ビジネスタスクフォース ディレクター
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)事務局長
1974年京都市生まれ。株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)、日本におけるESG投資顧問の草分けである株式会社グッドバンカーを経て2005年より現職。ルンド大学(スウェーデン)産業環境経済研究所修士課程修了(環境政策学修士)。気候変動と企業の関わりについて一貫して研究活動を実施。日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)の事務局長を務める傍ら、神戸大学非常勤講師、グローバル企業の気候変動アドバイザー、RE100アワードの審査員、自治体による各種審議会委員などを務める。 受賞歴:エネルギー・資源学会の第14回茅奨励賞、環境省の第9回、第11回NGO/NPO・企業環境政策提言 最優秀賞など多数。剣道三段。