Komiya Nobuo

dec 28 2021

犯罪予測の手法
「犯罪原因論」から「犯罪機会論」へ


立正大学 文学部 社会学科
教授 小宮信夫さま

今回のテーマは犯罪。犯罪を予測し防ぐための新たな見地が書かれた書籍「犯罪は予測できる」の著者であり、日本で唯一犯罪学を専攻にする小宮信夫先生にお話を伺いました。

日本で唯一と言っても、世界ではメジャーな学問。「日本は防犯後進国」と警鐘を鳴らすのは、犯罪が起こった時に日本で馴染み深いのは「犯罪原因論」という考え方だから。事件が起これば、犯罪者の動悸や心理状況、背景を追求しようと考えます。

しかし、先生は、英国ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科留学中に「犯罪機会論」と出会います。「犯罪機会論」とは、犯罪の機会(チャンス)の有無によって犯罪を予測する、という考え方。

犯罪とは、犯罪の原因以上に、犯罪の機会が引き起こすものであり、犯罪の機会さえなくせば犯罪を未然に防ぐことも十分可能である、という逆転の発想について詳しくお聞きしました。



その上で、社会課題として解決できる「犯罪を防ぐ3つの要素」を紹介、「犯罪機会論」をもとに、場所で守る、地域で守る、といった「街づくりからの防犯」は、まさにサスティナブルであり、日本の安心安全な街づくりにおいて重要な課題であると考えます。

その他、日本の防犯の現状と海外での防犯の取り組み事例、そしてテクノロジーを使った防犯の必要性など、様々な視点から防犯について語られます。犯罪をゼロにするのは難しいですが、個々に防犯を意識し身を守るためにも、ぜひ多くの方に知っていただきたい貴重なインタビューとなりました。ぜひ、お聴きください。







【書籍紹介】
犯罪は予測できる
(発行:新潮社)



  • 街灯、パトロール、監視カメラ……だけでは身を守れない。犯罪はいつ、どこで起きるのか? 注目すべきは「不審者」ではなく「景色」なのだ――。犯罪科学のエキスパートが説く、犯罪のメカニズムと実践的防犯ノウハウ。

    お求めはこちらから

写真でわかる世界の防犯 ――遺跡・デザイン・まちづくり
(発行:小学館)



  • 遺跡や街に見られる防犯の知恵を結集!
    世界92か国の遺跡や街並みを徹底分析した、世界初のオールカラー「防犯写真集」。「心理的・物理的に犯罪をやりにくい条件とは」という目線で、世界遺産、住宅や道路、学校や公園、駅やトイレなどを調査。著者自らカメラ片手に、7年間世界を駆け巡り撮影した「安全な景色」の美しい写真とともに、「被害を防ぐ具体的方法」を徹底解説します。

    お求めはこちらから


【スペシャルゲストプロフィール】
小宮信夫(こみや・のぶお)

1956(昭和31)年東京生まれ。立正大学文学部教授。社会学博士。日本人として初めて英ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。法務省、国連アジア極東犯罪防止研修所を経て現職。