Tokimoto Shingo

apr 18 2022

会話の不思議
あいまいな会話はなぜ成立するのか


目白大学外国語学部
教授 時本真吾さま

皆さんも一度はこんなやり取りをしたことがあるのではないでしょうか?
「コーヒー飲む?」「いや、明日朝が早いんだ。」

イエス、ノー、とはっきり答えていないにも関わらず会話が成立していますよね。このように日常では、直接言わずとも相手に伝わる「あいまいな会話」があちこちで繰り広げられています。

では、「あいまいな会話」はなぜ成立するのでしょうか?そこで今回、書籍「あいまいな会話はなぜ成立するのか」(岩波科学ライブラリー)の著者であり、目白大学外国語学部教授 時本真吾さんをお招き、お話を伺いました。



人間以外の動物の間にも意思を伝える何らかのコミュニケーションはありますし、犬と人間といったペットと飼い主の間にも友情などは存在します。しかし「会話」は人間特有のもの。ホモ・サピエンスの時代から、進化の過程で「会話」があったことで集団行動が容易になったり、狩猟をする時に指揮が取れたり技術を広められたりして生き残ることができたのではないかと考えられています。

また人間は、会話の中から一瞬で時間軸をとらえていると言います。この時間軸を話し相手と一致させられていることが、あいまいな会話を成立させるためのカギとなっているのです。



例えば、英文法には時制の一致というものがありますが、日本語はかなりあいまいです。さらに中国語はというと過去形という概念すらなく、「昨日」と言ったら過去のことだし「明日」と言ったら未来のことに決まっているという考え方なのだとか。

人間がどうやって会話の中から時間を感じているのかー考え始めると非常に不思議ですね。今回も興味深いお話をたくさん伺うことができました。時本先生へのインタビュー、ぜひお聴きください。





【書籍紹介】
書籍:あいまいな会話はなぜ成立するのか
(発行:岩波科学ライブラリー)



  • 日常会話は遠回しな表現で満ちているにも関わらず、聞き手は話し手の意図を直ちに理解する。
    なぜ言葉になっていない意図を推測できるのか?なぜ推測はほどほどでおさまるのか?
    なぜ遠回しな表現をするのか?3つの不思議を念頭に、哲学、言語学、心理学の代表的理論から現代の脳科学に基づく成果まで紹介する。

    お求めはこちらから


【スペシャルゲストプロフィール】
時本真吾(ときもと・しんご)

目白大学外国語学部教授。
1995年獨協大学大学院外国語学研究科博士後期課程修了、2009年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(英語学・心理学)。鹿児島女子大学(現志學館大学)文学部助教授、目白大学人文学部助教授などをへて、2008年より現職。専門は理論言語学、実験心理学、神経科学(本データは書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)