Koizumi Takeo

apr 11 2022

発酵
ミクロの巨人たちの神秘


東京農業大学名誉教授
小泉武夫さま

味噌、納豆、ヨーグルト、チーズなど、私たちの身の回りに溢れる「発酵食品」。その「発酵」、健康に良いという観点に加え、環境問題や食料問題の解決にまで発展する新しい分野として、いま注目を集めています。

そこで、お話を伺ったのは「発酵 - ミクロの巨人たちの神秘」(中公新書)を上梓されている、発酵仮面の異名をもつ、東京農業大学名誉教授 小泉武夫先生。

本書には「発酵という微生物の巨大な恩恵がなかったならば、私たちはもちろん、動物や植物も、この地球上に生存しない」とあり、微生物たちの神秘的な生命現象について、数多くの知見に触れることができます。



まずは、発酵食品から。スプーン1杯のヨーグルトには、数億もの乳酸菌(微生物)が含まれています。つまり、ヨーグルトを一口食べるということは、微生物の命を大量に身体の中に送り込んでいるということになり、結果的に「免疫力を高める」ことに繋がるのだとか。

また、私たちが使用しているエネルギー資源のうち原油や天然ガスなども、さかのぼれば、太古に微生物の分解発酵により生じたものです。

そもそも発酵をつかさどる微生物は、地球最古の生物ですが、「微生物の誕生から現在までを1年として考えると、1月1日に微生物が生まれ、人間が誕生したのは12月31日の午後11時53分」とのこと。微生物が過ごしてきた悠久な時の流れと、私たちのあまりにも短い時の流れとを対比すると、色々と考えさせられます...



現在小泉先生は後進の育成にも力を入れています。例えば、発酵についてより専門性の高い知識を学ぶことができる「発酵の学校」を開催、発酵食品ソムリエの認定を行っています。

「発酵の学校」とは
詳細はこちらから

地球の未来を救う救世主となる可能性が高い「発酵」。私もより深く学んでみたいと思わされた分野です。小泉先生へのインタビュー、ぜひお聴きください!





【書籍紹介】
書籍:発酵 - ミクロの巨人たちの神秘
(発行:中央公論新社)



  • 酒、チーズ、納豆等の嗜好食品から医薬品、洗剤の製造、さらには抗生物質、アミノ酸、ビタミン、微生物タンパク質の製造まで、発酵の作用は広く利用されている。自然界における環境浄化もまた微生物の活動に依存する領域で、発酵は地上の動植物の生存に不可欠の作用である。フグの毒抜き、中国の“奇跡の発酵”等、世界各地の発酵文化に今日のバイオテクノロジーの原点を探り、目に見えない微生物の神秘的世界を宇宙的スケールで捉える。

    お求めはこちらから


【スペシャルゲストプロフィール】
小泉 武夫(こいずみ・たけお)

1943年(昭和18年)、福島県の酒造家に生まれる。東京農業大学農学部醸造学科卒業。農学博士。東京農業大学名誉教授。現在、鹿児島大学、別府大学、石川県立大学等の客員教授を務める。専門は醸造学、発酵学、食文化。