【第79回ライスボウル】「特別なことはしない、シンプルに戦う」――パナソニック高山HC直撃、初の頂上決戦へ静かなる闘志
JAN 03 2026

2026年1月3日、東京ドーム。アメリカンフットボールの日本一を決める「第79回ライスボウル」のキックオフが目前に迫っている。対戦カードは、大会連覇を狙うパナソニックインパルスと、単独最多9度目の優勝を目指すオービックシーガルズだ。
30年来のライバル関係にありながら、ライスボウルでの対戦は史上初。決戦直前、パナソニックインパルスの高山直也ヘッドコーチ(HC)への単独インタビューが実現した。指揮官の口から語られたのは、奇策や気負いではなく、積み上げてきた「基礎」への絶対的な信頼だった。
■ 「連覇」への過度な意識はなし。「結果としてついてくるもの」
チーム史上初の2連覇がかかる一戦。メディアや周囲はその偉業に注目するが、高山HCのスタンスは極めて自然体だ。「連覇」という言葉について問われると、指揮官は淡々と答えた。
「(連覇について)聞いちゃいけないとかはないですよ。ただ、私が言っていないだけであって。一戦一戦を大事にしてきた結果、全勝できました。今日60分間戦い抜いて、勝つということを掴み取れば、結果として連覇となります。勝つということ以外はあまり考えていないので、シンプルに戦いたいですね」
今年で創部51周年。「今年1年積み上げてきたものを、今日の60分間でしっかり発揮できるようにいいマネジメントをしたい」と語り、あくまで目の前の勝利に集中する姿勢を崩さない。
■ 劇的勝利の準決勝も「通過点」
セミファイナルの富士通フロンティアーズ戦は、残り4秒での逆転劇という劇的な幕切れだった。激闘を制して勝ち上がったことは、チームにどのような勢いをもたらしたのだろうか。
「富士通さんとは過去何年もこの舞台で戦ってきました。それが準決勝になったというだけです。我々の目標は今日勝つことですから、チームのみんなも焦らず、浮き沈みなく、今日を迎えられています」
高山HCの言葉からは、死闘を制した興奮よりも、決勝を見据えて冷静に準備を整えてきた王者の風格が漂う。
■ 最強オフェンス対策は「ブロック・タックル・ヒット」
今日の相手、オービックシーガルズはリーグ1位の攻撃力を誇る。新任の萩山竜馬オフェンスコーディネーターの下、QBピアース・ホリーを中心に変幻自在な攻撃を仕掛けてくることが予想される。WR佐久間優毅らが「新しいプレーも用意している」と語る中、高山HCが挙げた勝負のポイントは驚くほどベーシックなものだった。
「相手は素晴らしいチームですが、シンプルに戦うことかなと思っています。『ブロック・タックル・ヒット』といった基礎的なところの違いをどれだけ出せるか。相手の戦略に対して大きな準備をしてきたというよりは、シンプルに準備してきました」
相手が何をしてくるかよりも、自分たちのフットボールを貫けるか。試合中のアジャストについても、「相手がやってくることに対して、ゲーム中にシンプルにアジャストする」と、現場での対応力に自信を見せる。
■ 「一発でタッチダウンを取られないこと」
とはいえ、相手の強力なパス攻撃への警戒は怠らない。特にQBホリーが「今まで投げられなかった場所」へ投げ込んでくる能力については、現実的な対策を口にした。
「投げられる分にはもう防ぎようがない。投げられた後に、いかに一発でタッチダウンを取られないかが非常に大事です。ロングゲインを防ぐこと、ボールをしっかり奪うこと。そして(QBに)しっかりプレッシャーをかけることです」
オフェンスに関しては「相手ディフェンスも非常に堅い」と分析した上で、「まずライン戦でしっかり勝って制圧できれば、ランもパスも、QB荒木(優也)も余裕を持って投げられる」と、ライン勝負(最前線の攻防)をキーポイントに挙げた。
■ 感動と活力を届ける60分間へ
スタンドには多くのインパルスファンが詰めかけている。最後にファンへのメッセージを求めると、高山HCは力強く語った。
「インパルスファミリーの皆さん、会社の皆さん、ファンの皆さんのご支援があって我々があります。感動と活力を与える試合を見せたいと思います」
30年越しの初決戦。15時、運命のキックオフを迎える。